コロナの影響で緊急事態宣言が発令され、全国的に外出自粛の流れが出てきていますね。外に出たいものの、気持ち的に億劫になってしまう時間が続きそうです。
こんな有事の今だからこそ思う、バックパッカーや貧乏旅をやっておいてよかったことについて、備忘録的に書き残しておきたいと思います。
過去のバックパッカー経験
自分は2012年に大学を1年間休学し、海外各地をふらふらと貧乏旅をしていました。ただ1年間通してずっと放浪していたわけではなく、ある程度のエリア(地域)と期間を決めて渡航し、定めた期間が終了したら帰国し、その後また別の地域に行くという形で旅を繰り返していました。
「なんでそんな非効率な…」と思われるかもしれませんが、理由がいくつかあります。
- 地域・期間を定めて行くことで計画が立てやすい
- 一度帰国することでリフレッシュできた
- 非日常と日常の差分を鮮明に感じたかった
- 単純にお金がそんなになかったので都度資金調達(バイト)する必要があった
今思えば4番目の理由がめちゃくちゃ現実的な理由な気がしますが、昔読んでいた「キノの旅」という小説で、主人公が「1つの場所に最大3日まで滞在」というルールを決めて冒険していたのに影響されたのもあり、飽きたら別の場所に行けばいいやという気持ちで放浪してました。
要は気ままな根無し草で移動するのが好きなタイプだったので、そこまで長期滞在に価値を置いていた訳でもなかったのです。
バックパッカーやっててよかったと思うこと
そんな性分だとなおさら「だったら外(旅行)に出たいんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。
確かに今の状況は「旅行好きのバックパッカー」としては非常に苦しいです。海外はおろか、国内も自由に移動ができず、在宅勤務ともなればもはや自宅の半径1km圏内が自分が実際に目にする世の中のすべてです。
しかし、ふと思い返してみると「バックパッカーとしての経験」がこの有事の際には非常に活きていると思います。ここではなぜそう思うのかを、自分が思うバックパッカーなりの精神性や考え方?から考えてみます。
なんとかなるという精神性
予想外のトラブルに巻き込まれるのが旅の常です。どんなに下調べしてもうまくいかないときはあるし、ぼったくられたり、野宿する羽目になったりすることもありました。
そういうときは一度は落ち込むけれど、「まぁ起きたことはしょうがない。なんとかなるべ」と考えてから次の行動を起こし、次第に持ち直していくことができました。旅の道中はこうした経験を何度も繰り返し、考え方次第でなんとでもなるのだなという精神性が身につきました。
程度の差はあれ、うまくいかないこと起きるのは普段の日常生活でも同じです。そんなときはネガティブからポジティブに考え方を変えたり、自分の状況を俯瞰したメタな視点を持つことで落ち着くことができるようになりました。
ケセラセラとはよく言ったものですが、「なるようにしかならない」と思うことで、精神的にかなり気楽になったと思います。
ただあまりにも行き当たりばったりなのもいかがなものなので、大変なときでも手持ちの手札で何ができるかを考えるという習慣が身についたのが副産物的なプラス点です。
生活の質をあまり上げない
バックパッカーはある意味コスト至上主義です。
すべてのバックパッカーがそうとは限りませんが、できるだけ長期間旅を続けるためには、限られた資金をできるだけ安いコストで物資を仕入れることに命を賭けがちです。そうした背景から渡航先の市場などで店主と延々と値引き交渉をする訳です。
当時の自分の場合、水1本の値段にも徹底し、街の中のどのスーパーが1セントでも安いかを把握するまで延々と現地の市場調査(もとい放浪)を続けていました。
ただ、すべてのことで交渉をするのも大変なので、次第に自分の最低限許せる生活=ストレスなく生きられる最低ラインを見直すようになります。
ミニマリストほどではありませんが、旅の間はバックパックに詰め込むものが生活のすべてです。旅を通じて自分の尊厳が許せる最低ラインを見出すことで、生活の水準は自然と下がり、あまり贅沢をしなくとも満たされるようになります。これは普段の日常生活でもそうなったと言えます(たまにはプチ贅沢もしたいけど)
幸せの基準値が低い
上の理由と関連しますが、自分がストレスなく生きられる最低ラインがわかると、幸せの基準値が圧倒的に低くなります。
これはある人物に直接言われた言葉ですが、旅を通じていかに自分たちの日本での日常生活が満たされたものでできているかを再確認することができます。
なんでも今あるもので満たされるので、すべてがありがたく思えてきます(笑)
足るを知る生活をベースに
バックパッカーとしての経験を経たことで、自分は本当に自然な形で満たされやすくなったと思います。
そもそも「学生の頃から旅行なんて行ってたやつは恵まれてる!」と思われるかもしれません。
ただ、世界を廻ってきたからこそ日本での生活がいかに満たされやすいものかを知ることができたのも事実です。他の国では日本ほど「裕福」ではないにせよ、心穏やかに生きている人々もたくさんいました。
いまは外に出れないなどかなりの制約を強いられていますが、この国ではこれまでがある意味供給過多だったのではないでしょうか。必要以上を求めず、余った分は他に回そうという足るを知る生活を目指すことで、いまよりもっと精神的安定を手に入れることができるのではないでしょうか。
未曾有の危機を乗り越えることが先決ですが、乗り越えた先に、今あるがままにあるものに対してありがたく思える生活が少しでも広まったらいいなと思っています。
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